CBCハウジング住まいの探偵団が行く!「家づくり」や「暮らしを楽しむこと」に好奇心いっぱいのみなさま。「CBCハウジング住まいの探偵団」が専門家にお話を聞いて、家づくりに関するみなさまの疑問にお応えします。

テーマ

2018.5.9更新

Vol.32「庭と家、つながって豊かな暮らし」

建築家 深谷朋子さんの設計される住宅は、時間がゆっくりと流れている印象を受けます。なぜかな…と考えたら、そこには暮らしとつながっている庭がありました。庭の植物や、やってくる生き物たちと、季節を感じながら、毎日を大切に過ごしていける。そんな住宅だからでしょうか。
今回は、深谷さんに、「家づくりと庭」を中心にお聞きします。

深谷 朋子(ふかや ともこ)さん
関西の学校を卒業後1年ほど、阪神大震災で被災した神戸長田区真野地区で共同住宅の建替にボランティアで関わる。「役割を担える力をつけたい」と、奈良や東京の設計事務所などで修業。その間、ネパール・インドへの旅行中に、医療法人phect-NEPALカトマンドゥモデル病院移転計画および診療所・地域指導員養成センターの基本設計に携わる。2007年F設計室設立。一級建築士。中部建築賞入賞(2009年)、すまいる愛知住宅賞名古屋市長賞(2009年)、同住宅金融支援機構東海支店長賞(2014年)など受賞。

3.ひとつ屋根の家 ①

186坪の敷地に建つ延床面積36坪のローコスト住宅

玄関までの長いアプローチ。敷地が広そうですね。

深谷さん

アプローチによって、風景としての引きをつくっています。旗竿敷地で、186坪あります。でも住宅は、延床面積36坪のローコスト住宅。4人家族です。

塀は竹製ですか?

深谷さん

はい。樹は既存の樹木を活かしています。広い敷地のわりには、そんなに外構にお金をかけていません。

広い敷地を活かした高基礎の家

丘の上に家が建っているのですね。

深谷さん

いえ。敷地の周囲に擁壁をつくらなくてもいいように「高基礎」にして、家の周りに残土を丘のように盛ってあります。

「高基礎」とは?

深谷さん

基礎を高く打つことです。この住宅は1m高くしています。家の床と地盤の間に1mの空間ができる効果は大きいです。断熱性能があって家が暖かいし、通気性が良い、床下の水道管や下水管の点検もしやすい。敷地が広ければ、高基礎はなかなか合理的だと思っています。

なるほど! そして1m分高いところに土を盛って、丘をつくったということなんですね。

深谷さん

当初は広い敷地を活かした平屋建てをご希望でしたが、予算が限られていたので、子ども部屋を屋根裏につくって、平屋にみえる四角の2階建にしました。
そして屋根は大らかに一つポンと置いて。

それで「ひとつ屋根の家」。

深谷さん

屋根の形をなるべくシンプルにすることは大事だと思っています。複雑にすると美しく見えないし、構造面でも施工面でも不合理です。雨漏りも心配ですしね。

広い玄関からリビングへ

玄関を入って、リビングをみたところ。庭の緑がきれいです。

深谷さん

建物を敷地に対して西に30度建物を振っているので、リビングにいても、アプローチからの視線が気になりません。

こちらは、振り返って玄関の方を見たところ。

深谷さん

この家の玄関は立派で、3畳あります。旦那さんのご要望でした。何も言われなければ、私は、玄関は最小限にしちゃいますから(笑)。さらに、玄関脇に3畳のトイレがほしいと。

3畳!

深谷さん

「3畳のトイレは落ち着きませんよ」と(笑)。いろいろ見せながら、心地いいスケールのトイレをご理解いただきました。1.5畳です。

まん中に見えるのは柱ですね。

深谷さん

思ったより太めで重い感じだったので、後でクライアントと一緒に「藤」を巻きました。

縁側でつながるLDKと庭

ダイニングからリビングを見たところ。広いですね。

深谷さん

16畳です。庭とのつながりで、それ以上に感じられるようにしています。

こちらが庭と家をつなぐ縁側空間。広いし、軒も深いです。

深谷さん

庭でバーベキューをされますが、雨が少々降っていても大丈夫と気に入っていただいています。縁側の幅は1.3mあります。90cmぐらいだと座って庭を眺めるだけしかできないんですが、これだけの幅があると向かい合って座ることができます。テーブルを並べてご飯を食べたりもできます。

素敵ですね! もう一つ、縁側がありますが。

深谷さん

ここは物干し場として優れもので、私のなかでは一番よくできたと思っています(笑)。意外に、物干し場は難しいんです。人目に触れたくないんだけど、つい南側に干しちゃう。ここは庭に入っても見えない位置で、日当たりはあまりよくないけれど、風通しがすごくよくて、よく乾くんです。

なるほど!

深谷さん

室外機を置いたり、玉ねぎを干したり、サービスコートがある方が、暮らしとしてはいいと思います。

そうですね。次回は「ひとつ屋根の家」の室内をご紹介ください! よろしくお願いします。

page up