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2018.2.28更新

Vol.31「もっと楽しいことができる家」

こんな家で、こんな暮らしをしたい――夢が膨らむ家づくり。
「背伸びをして理想と考える暮らしを追いかけるより、本当に好きなこと、楽しいことができる家がいいね」。そんな家づくりをされる服部信康さんは、ご自分のことを「設計者」とおっしゃいます。お話をお聞きして、服部さんが追求していらっしゃるのは「暮らしの設計」なのかと思いました。今回は、それぞれ「システム」と「プランニング」を重視したいという、2家族の家づくりをご紹介いただきます!

服部 信康(はっとり のぶやす)さん
職人さんと汗を流した商業建築の現場監督から、店舗設計、そして住宅設計へと、豊富な経験を持つ服部さん。住宅のスタイルも施主の個性に合わせてさまざまで、多数の建築賞を受賞しておられます。周辺の環境や地域社会との関係づくりも素晴らしく、お施主さんが思い描いた以上に「楽しいことができる家」なのだろうと思うのです。
服部信康建築設計事務所主宰。一級建築士。INAXデザインコンテスト銀賞(2003年)、中部建築賞(2003年・2005年・2008年・2009年・2010年)、すまいる愛知住宅賞愛知県住宅供給公社理事長賞(2016年)など、受賞多数。

2.システマティックでなつかしい住宅 ➁

母屋はバリアフリーのワンルーム

服部さん

玄関を入ってすぐのワークスペースです。母屋はバリアフリーのワンルームで、家じゅうをグルグル回れるようになっています。

リビングから向こうにダイニングを見たところ。室内はすべて合板ですか?

服部さん

床は積層のブナです。壁は、節が少なめのヒノキ材を表面にした合板です。

「かっこいい家」じゃなくていい

ダイニングキッチンからリビングを見たところです。棚も全部作ったのですか?

服部さん

はい。キッチンも大工さん。一つひとつ話をしながら作りました。かっこ良い家っていろいろありますけど、「無理にかっこ良くしなくていいじゃないですか」という話はずっとしていましたね。

大工さん、大活躍ですね。テーブルもですか?

服部さん

これは、作家さんに作ってもらいました(笑)。

左の写真はリビングから北を見たところ。奥はフリースペース。右の写真はフリースペースからリビングを見たところ。

服部さん

フリースペースには地窓をつけているので、夏は風が抜けて涼しい。「夏はここで寝てね」と言っています。

トイレ。左側に見えるのが玄関ですね。外が見えて解放感がありますね。

服部さん

視線が抜けるっていうのは、心地よく暮らすのにけっこう大切な要素だと思います。トイレの手洗いは、サラダボールで手作りしました。

細かいところも手をかけていて、面白いですね。

母屋と子ども部屋をつなぐ土間

母屋と子ども部屋は、どのようにつながっているのですか?

服部さん

土間を渡っていきます。今回のプランニングのポイントのひとつです。土間であるし、外に行く廊下でもある。軒に出ると向こうまで見えて、開放感もある。

母屋の屋根と、子ども部屋の屋根が出会って一つの空間をつくっている。楽しいですね。

服部さん

母屋側の屋根はポリカーボネート(プラスティックの一種)だから、光が入って圧迫感がありません。昔の田舎の家の物置ってポリカでできていて、安っぽいですよね。人間味があっていいなと思って、わざとそういうつくり方をしました。

子どもたちが雨の日でも遊べるし、洗濯物も干せる。いろいろな使い方ができる場所ですね。

服部さん

子ども部屋側から母屋を見たところです。夏は、スダレをかけて光が家の中に入ってこないようにする。土間のコンクリートが冷えるので、涼しい風が流れ込みます。夏にエアコンを3回しか使わなかったのは、そういう理由です。

冬はどうですか。

服部さん

冬は光が十分室内に入ってくるし、土間のコンクリートが今度は蓄熱して、暖かいというわけです

子どもたちが思い切り遊び回れる場所

こちらが子ども部屋。今はお子さんが小さいから、ご家族の寝室になっているんですね。こちらも天井のアールが素敵です。架け方が違うと、母屋とはまた違う表情になります。

服部さん

ここもあえて地窓にして、ここから庭の緑と風を取り込みます。

中庭から見るとこんな感じ。子どもたちが、出入りしやすそうですね。

服部さん

子ども部屋、母屋、離れが狭い中庭でつながって、走り回れるでしょ。鬼ごっこやかくれんぼができる。昔は子供は床下に入ったりして遊んでいた。そういう場所を残してあげるのもひとつかなと思うんです。

ほのぼのした生活が似合う「ハマグリさん家」

家ができて、引っ越しされて、お客様の反応はいかがでした?

服部さん

テラスで水遊びしたり何か食べたりしてくれるといいな、と思っていたんです。そういう生活をしてくれていると知って、すごく嬉しかったですね。サザエさんのような、ちょっと庶民的な、ほのぼのした生活が似合う家になってほしかった。「ハマグリさん家」ぐらいのつもりで思ってたから(笑)。

服部さんは、暮らしの風景を思い浮かべながら設計されるんですか?

服部さん

その人に合った家族の風景を考えますね。そのために、かっこ良くするんじゃなくて、このお客さんの場合だと、システム的な家づくりを希望されていたのだけれど、そこに、さらに何か昔の匂いがあるというのかな――たとえば、土間があることで、あるいはポリカの庇があることで、生活って変わってくるんじゃないかと。それを住宅の中に入れ込むことで、無理をしない自分たちらしい生活をしてほしいと思っているんです。

家族の風景を考えながら、それに向けて家づくりをしていくんですね。
次回は、「プランニングを重視したい」から始まった家づくりをご紹介いただいます。お楽しみに!

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