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2017.1.24更新

Vol.30「家づくりの答えはいろいろ」

今回ご登場いただく建築家・道家洋さんは、「家づくりの答えは一つひとつ、一人ひとり違います。それは、自分たちが思ってもいなかったところにあるかもしれません」と、おっしゃいます。自分たちにとって何が一番大事なのかを探し出す――これは、家づくりで大切なこと。「決まったスタイルを押しつけるのではなく、さまざまな希望や要望に対応し、さらにそこを超えて、場所と人にふさわしいデザインを求めています」と、道家さん。今回は、そうして生まれた全く違うスタイルの住宅をご紹介します。

道家 洋(どうけ ひろし)さん
現代美術がお好きで、ご自分でも作品を作っていらしたという道家さん。設計される住宅は、フォルムの美しさに定評があります。さらに、住宅を拝見して印象的だったのは、敷地の大小に関係なく、その「伸びやかさ」「大らかさ」でした。背景には、細やかで理にかなった構成力、デザイン力があると思います。
道家洋建築設計事務所/LoTeks主宰。一級建築士。1995年名古屋市都市景観賞受賞(前所属事務所担当作)。愛知淑徳大学非常勤講師(2001 - )。

4.「ハラッパ」➁

オリジナルのかわいい玄関

ここが玄関。かわいいですね。屋根もしっかりついています。

道家さん

自転車置場がほしいという要望や法規上もいろいろあって、この形状になりました。開き扉では風情が違うなあと思ったので引き戸にして、木製が似合うだろうと思って、デザインしました。ドアの取手もつくっています。

鉄ですか。

道家さん

黒皮鉄という酸化被膜のついた素材です。保護材を塗ってはありますが、やがて錆びてきます。自転車の固定金具も同じ素材で作りました。それを許容してくれるオーナーでした。

錆もまた良し、ということですね。

木と白い壁と光と影、美しい調和

道家さん

室内から玄関を見返したところです。少し階段を上がっています。

木と白い壁の調和が美しいですね。右手の階段を上がって2階のLDKへ。下側から外の光が入っています。

道家さん

写真手前が土間で、土間から玄関ホールを見たところです。土間がほしいというのは当初からのご希望でした。土間に趣味の機織り機を置きたいということでした。正面の木製の収納は靴箱で、その上に見えるのが階段です。あまり外から見られたくないということだったので、光だけちょっと入るようにしました。天井にも天窓があります。壁を伝って光が拡散するので柔らかい印象になります。玄関脇の横長の窓は既製品ではなく、鉄板を折り曲げて枠がスッキリとするようにつくっています。

光の入り方も含めて、「きれいだな」と思うと、やはり細やかなデザインがされているんですね。階段も、支えの柱がないデザインです。

道家さん

小さいからこそ、いろいろ気をつけていることはあります。

お客様を迎える和室

道家さん

写真は右手が土間。左手が、お客さんをまず迎える場所、来客用の和室です。

写真の手前が土間ですね。

道家さん

中央にトイレと押入れ、奥に水廻りがあります。洗濯物干しも1階にあります。畳は縁のない「琉球畳」が4枚。板敷の部分を入れると6畳ぐらいの部屋になります。

障子が隠れていたのですね。

道家さん

はい。動かすと囲んだ部屋になるので、来客時に泊まる場所としても機能します。私もたまに行くと、泊まらせてもらってます(笑)。

和室だけではなく、他の部屋でも天井や床などに合板が使われています。その模様が、変化があってとても面白いと思うのですが、普通の板材ですか?

道家さん

はい、針葉樹合板です。白い塗料を塗って、それを拭き取ると、木目が白っぽく出てきます。意図的にそういう材料を使っています。

モザイクタイルのオリジナル―洗面と浴室

こちらは洗面と浴室。かっこいいですね。

道家さん

ここは凝りたいというオーナーのご希望で、洗面も風呂もオリジナルです。モザイクタイルを張っています。天井は板貼です。カビが出ると怖いよという話もありましたが、常に換気してもらっているので全く出ていません。奥の庭にはイロハモミジを植えて、夜、下からライトを当てています。その陰影が浴室から見えて、いい感じです。

素敵ですね。こちらは、浴室から洗面を見たところ。浴室の壁は白一色じゃないのですね。

道家さん

オーナーが市松模様好きで、どこかに使いたいというので、「ここはどう?」と。

お湯につかりながら毎日眺めて…ご満足でしょうね(笑)。

自然光で居心地のいい半地下の部屋

そして、こちらが半地下の部屋。自然光が入って、居心地が良さそうです。

道家さん

法規的な要求もありますが、できるだけたくさんの光が南から入るように、地盤面の上に窓を設けてあります。ここは書斎です。将来は、子ども部屋になるんじゃないかな。仕切れば2部屋になるようにつくってあります。地下には、ほかに主寝室と収納があります。

地下室の利点ってありますか?

道家さん

夏涼しくて冬あたたかい。夏の現場では、地下室で打合せをしていましたが、格段に楽でした。

なるほど! 地下階も木の表情が豊かですね。

道家さん

ここは、コストをちょっと押さえましょうと、床にも合板を使っています。白っぽかったのが、だんだん濃い色になってきています。木は変化していくし、長い時間でものを見るにはいいなと思います。何でもそうかな、コンクリートも汚れていくし、鉄も錆びるし。

時間を経て変化していく様子も楽しめたらいいですね。

楽しく家づくりをすると、いい家ができる

最後に、家づくりで大切なことは何でしょうか?

道家さん

設計者とオーナー、互いに相手のことを知るのは大事です。私はまず、オーナーがどういう人か関心を持つことから始めます。
家づくりでは、どちらかが主導権を握るということはまずありません。さまざまなことを、やり取りしながら決めていきます。オーナーの雰囲気を見ながら、「こういうのが好きかな」と提案していきます。それに対して、何もリアクションなかったら進んでいきません。「何でもいい」と言われても、「ん?」となる。でき上がった住宅に対して「そんなつもりじゃなかった」ということになったら、どちらも困ってしまいますからね。

今回は、オーナーの個性が光るいろいろなタイプの住宅をご紹介いただきました。楽しく家づくりをすると、いい家ができるのかなと思いました。ありがとうございました。

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