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2017.1.10更新

Vol.30「家づくりの答えはいろいろ」

今回ご登場いただく建築家・道家洋さんは、「家づくりの答えは一つひとつ、一人ひとり違います。それは、自分たちが思ってもいなかったところにあるかもしれません」と、おっしゃいます。自分たちにとって何が一番大事なのかを探し出す――これは、家づくりで大切なこと。「決まったスタイルを押しつけるのではなく、さまざまな希望や要望に対応し、さらにそこを超えて、場所と人にふさわしいデザインを求めています」と、道家さん。今回は、そうして生まれた全く違うスタイルの住宅をご紹介します。

道家 洋(どうけ ひろし)さん
現代美術がお好きで、ご自分でも作品を作っていらしたという道家さん。設計される住宅は、フォルムの美しさに定評があります。さらに、住宅を拝見して印象的だったのは、敷地の大小に関係なく、その「伸びやかさ」「大らかさ」でした。背景には、細やかで理にかなった構成力、デザイン力があると思います。
道家洋建築設計事務所/LoTeks主宰。一級建築士。1995年名古屋市都市景観賞受賞(前所属事務所担当作)。愛知淑徳大学非常勤講師(2001 - )。

1.「ハラッパ」@

厳しい制限のなかで生まれたフォルム

今回ご紹介いただく住宅「ハラッパ」。角地で、わりと小さな敷地ですね。

道家さん

一種低層住居専用地域の南西角地で、約32坪の敷地です。建ぺい率は、本来40%のところ、角地ということで10%上乗せできて50%です。

建ぺい率というのは、敷地面積に対して建物が建てられる面積の割合のことですね。ということは、建築面積は約16坪、50uと少しですね。

道家さん

さらに北側斜線、道路斜線というものがあって、非常に制限が厳しく、この形がぎりぎりでした。

北側はここまでの高さ、道路側はここまでの高さ、という制限ですね。

道家さん

「高さ」と「斜線の勾配(角度)」が決まっています。

そういうなかで、最大限の空間をつくられたということですね。大きな窓がないのは人通りがあって、その視線を避けるためですか。そういう時には中庭を設けることが多いようですが、中庭はありますか?

「草屋根」の家

道家さん

中庭のご希望はありましたが、つくりませんでした。屋上緑化をしたいというご希望もあって、屋上庭園も検討しましたが、最終的にはコストも考えて、「草屋根」にしましょうということになりました。

「草屋根」とは?

道家さん

屋根の上に非常に保水性が高い人工の土壌を10cmぐらいの厚みで乗せて、野芝を敷いたものです。皆さんよくご存知の著名アニメーション作家さんが、「屋根は都会に残された最後の空間。その屋根を誰もが『自分もやってみたい』と思えるような草屋根にしてほしい」、ということでスタジオの屋根を「草屋根」にしたそうですが、その施工を担当されたイケガミという会社にお願いしました。

屋根に上がれるのですか? それだけで嬉しいですよね。

道家さん

2階のバルコニーから階段で上ります。オーナーは屋根の上でランチをしたり、朝日や夕日を眺めたり、暖かい日はお昼寝をしたり、毛布にくるまって星を眺めたり、りんご箱を置いて土を入れて、ハーブを育てたり。小さな庭として利用しています。

楽しいですね!! お手入れがたいへんじゃありませんか?

道家さん

基本的に手入れはいらないです。降った雨だけで草が育ちます。蟻もいるし、鳥がいろいろな種を運んでくる。夏場、心配だったら水をまいてくださいと。

すごく良いですね!

道家さん

もっと多くの方に勧めたいです。土は断熱性能がないと言われますが、湿り気をもっているのと、蒸散といって水分が蒸発していくので、暑さに対してかなりの効果があるという実験データもあるそうです。

中庭のようなテラスとLDKの関係

2階のLDK。広いですね。写真の右側がテラス。奥に見えている階段で屋根に上がっていくわけですか。

道家さん

はい。LDKは約20畳です。オーナーは中庭を希望していましたが、「この敷地では無理だよ」と。だけど、建物の一部で中庭みたいなものをつくりましょうと、つくったのがここです。南側向きで、ルーフテラスは屋外です。

本当に、中庭みたいな空間です。囲われているので、外からの視線を気にしなくてもいいし、お子さんも遊ばせておけますね。

道家さん

工夫としては、7.5mの間口を柱のない空間としました。

なるほど! 窓の方に柱が一本もありませんね。しかも、引き戸で全開!

道家さん

天気がいい日は気持ちいいです。床暖房を入れていますが、日差しが奥まで入るので、そんなに使わなくてもいいようです。

LDKとテラスの床材は同じですか?

道家さん

同じに見えますが、中はカバの木、外は腐りにくいセランガンバツです。外の方は、今はグレーっぽい色になっています。

たくさんの要望を満たしたキッチン

天然の木が優しくて柔らかくて、いい感じです。写真正面のキッチンは、造り付けですか?

道家さん

はい。動線や食洗機や食品庫、収納など、細かく要望があって、プラン上で試行錯誤を重ねました。キッチンはアイランド型も検討しましたが、最終的には壁側につけました。テーブルが真ん中にきて、これで正解だったと思います。人が集まるのはここになります。

場所によっていろいろな照明が付いていますが、ここは裸電球ですね。

道家さん

照明のデザインが良すぎると、主張が強くて、合わないなと感じることが多くて、最近は裸電球にすることが多いです。

しかし、小さい住宅なのに、のびのびした空間に驚きました。1階が個室や水廻りになっているのですか?

道家さん

半地下もあります。それがなければ成り立たない建物でした。

そうなんですか! 次回は1階と地下をご紹介ください。楽しみです!

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