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2017.12.27更新

Vol.30「家づくりの答えはいろいろ」

今回ご登場いただく建築家・道家洋さんは、「家づくりの答えは一つひとつ、一人ひとり違います。それは、自分たちが思ってもいなかったところにあるかもしれません」と、おっしゃいます。自分たちにとって何が一番大事なのかを探し出す――これは、家づくりで大切なこと。「決まったスタイルを押しつけるのではなく、さまざまな希望や要望に対応し、さらにそこを超えて、場所と人にふさわしいデザインを求めています」と、道家さん。今回は、そうして生まれた全く違うスタイルの住宅をご紹介します。

道家 洋(どうけ ひろし)さん
現代美術がお好きで、ご自分でも作品を作っていらしたという道家さん。設計される住宅は、フォルムの美しさに定評があります。さらに、住宅を拝見して印象的だったのは、敷地の大小に関係なく、その「伸びやかさ」「大らかさ」でした。背景には、細やかで理にかなった構成力、デザイン力があると思います。
道家洋建築設計事務所/LoTeks主宰。一級建築士。1995年名古屋市都市景観賞受賞(前所属事務所担当作)。愛知淑徳大学非常勤講師(2001 - )。

2.「黒一」

シンプルな黒い真一文字の家

「黒一」。外観を拝見すると、ネーミングの意味がわかります。なるほど! 確かに「黒一」です。こちらは南側ですね。

道家さん

田園とも郊外ともつかないボンヤリした風景の中に、少しだけ強い意志を持ったものを入れてみたいと考えて、シンプルな黒い真一文字の家を提案しました。

南側に窓を作らなかったのですか?

道家さん

南側は親戚の畑なんです。あまり景色はきれいでない。ですから、借景をするより、南側を塞いで光を採るだけの高窓にしました。北側に両親の家があるので、そちらに開く形です。

木造平屋ですよね。

道家さん

ご両親の家の南にあまり大きいボリュームの家をつくるのはいやだよねということで、最初から平屋の提案でした。コスト的な面もありました。平屋で高さを抑えながら、でも4m30cmと普通の家よりは天井を高くして、ボリュームとりましょうと。1階半ぐらいの大きさになっているので、そんなに圧迫感を与えないで中は広々しています。

なるほど! こういう形になったのも、理由があるのですね。

道家さん

そうですね、なんとなく(笑)。自分の実家の方には親密な空間ができるように、全体を頭の中でふわふわと重ねながら。

ドラマティックな玄関と廊下空間

ここが、南側にある玄関。外壁はガルバリウム鋼板で、玄関の扉は木です。柔らかい印象ですね。

道家さん

扉は米スギです。玄関の上はロフトになっています。

中に入って、玄関の方を見たところ。透明のガラス窓があるので光が入るし、外壁が見えますね。外壁が中まで続いています。おもしろい! 玄関は大事に考えていらっしゃる?

道家さん

はい。外と中がつながる場所で、いろんな意識が切り替わったり、つながったりする場所です。意識はしますね。

玄関からLDKに至る廊下。長くて狭いですね。

道家さん

廊下は少し天井を低くして、狭いところ通ってくると奥の方に光が見えてくる。LDKは空間のボリュームを大きくしたので、そこに至るプロセスを若干ドラマティックにしてみようといういたずら心というか、そんな気持ちが出ました。

なるほど!

LDKは大らかな大空間

LDKです。大らかな空間ですね。20畳くらいありますか。正面奥がキッチン、その奥の上部はロフトですね。手前がダイニング、キッチンの前は?

道家さん

子どもの様子を見ながら家事ができるようにという要望がありまして、今は子どもたちが遊ぶフリースペースになっています。将来的には建具を入れれば、子ども部屋が2つできるようにしてあります。その手前の窓の外が中庭です。

こちらは、キッチンの向こうのロフトから反対側を見たところ。南からの光がよく入っています。

道家さん

キッチンは、コンクリートで衝立を作って、上に物が置ける木のカウンターを乗っけただけのデザインです。天板もステンレスで、その下は、真ん中に食洗機があって、両側はオープン。あとは自分たちでやるからいいという奥さんでした。既製品のケースなどを工夫して収納されていますが、それはそれでお洒落で良いんです。

コンパクトな水廻りと個室

ダイニングコーナーから同じ方向を見たところ。右手がご両親の家の方に開いた中庭ですね。奥の壁もコンクリートなんですね。

道家さん

はい。コンクリートの壁の向こうに洗面、バスがあります。左手の壁の向こうは、自分の勉強部屋がほしいという話になって、書斎、隠れ家的なスペースです。

出た! 男性の憧れ「隠れ家的スペース」!(笑)

道家さん

ここが、その奥の主寝室です。左手は中庭になっています。

家中の床や壁、迫力があっていいですね。

道家さん

壁はラワン合板を使っています。それに色を塗っただけです。最近あまりラワン合板の柄が揃わないので、材木屋さんに行って、これぐらいので揃えてと指示していました。床材はパインフローリング。柔らかくて、そんなに高くない材料です。

伸びやかで、気持ちのいい住宅でした。最初は四角い箱がポンって置いてあるだけかと思いましたが、内部は変化があって楽しい。子どもたちが走り回っている様子が目に浮かびます。
次回は、屋根の上に庭がある「ハラッパ」という住宅を紹介していただきます。よろしくお願いします。

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