CBCハウジング住まいの探偵団が行く!「家づくり」や「暮らしを楽しむこと」に好奇心いっぱいのみなさま。「CBCハウジング住まいの探偵団」が専門家にお話を聞いて、家づくりに関するみなさまの疑問にお応えします。

テーマ

2017.6.28更新

Vol.27「若い夫婦の住まいのつくり方」

今回は、建築家の竹中アシュさんに、若い2組のご夫婦の家づくりをご紹介いただきます。一組は、ご結婚前に相談があって、結婚と同時に新居に住み始めたご夫婦。もう一組は、小さな男の子2人を育てるご夫婦。いずれも、潤沢な資金をお持ちだったわけではありません。竹中さんのサポートを得て、どのようにして住宅を建てたのでしょうか。

竹中 アシュ(たけなか あしゅ)さん
建築家・竹中アシュさんは、「家づくりは旅のようなもの」とおっしゃいます。どちらも、体験する前と後ではきっと何かが変わっているから。「人生は長い道のり。たいへんだけど、楽しみながら家をつくっていきませんか?」と、呼びかけてくださいます。人生経験の浅い若いクライアントにとっては、何でも相談できる頼りになるお兄さんという感じでしょうか。
「竹中設計事務所アシュ」主宰。一級建築士。2006年住宅コンペ最優秀、2010年億載金城国際コンペ3位、2011年香川県キャッスルプロムナードコンペ入賞、2013年建築士会建築コンクール伊礼賞(高雄ビジターセンター)受賞。中部大学・愛知工業大学・金城学院大学非常勤講師。

2.「ランニングコストを抑える知恵(house k)」

引き込み戸で部屋を仕切る

リビングとダイニングと2階の書斎が、ワンルームのように使えるプラン。それによって、建坪以上に広い空間を実感できます。

竹中さん

リビングとダイニングの間に引き込み戸があって、空間を分けられる仕組みになっています。部屋を小割にできた方が空調しやすいですし。リビングとの間は透明ガラス、玄関の方は摺りガラスにしています。

竹中さん

吹抜けの場合、冬は床暖房が望ましいんですが、1500万円の予算では無理かと考えて、僕からは、「コタツどうですか?」と勧めました。

コタツですか?

竹中さん

はい。電気代もお得ですし、寒ければ自然と皆がそこに集まることになりますしね。でも残念ながら最終的にはエアコンを選ばれました。

あはは! 竹中さんのご提案は、ご夫婦の考えるライフスタイルと合わなかったんですね(笑)。

光を入れることで、冬も暖かく

竹中さん

「冬、寒くないですか?」と聞いたら、「そんなに寒くない」と。「光が奥の方まで入ってくれるので、晴れた日は暖房がなくても十分生活できます」ということでした。吹抜は寒くないかなあと思ったのですけど、若さ故でしょうか。近い将来、コタツを購入されると思います(笑)。

本当ですね、奥の方まで光が入っています。ちゃんと計算して、軒の長さを決めていらっしゃるんですね。

竹中さん

この図は、夏至と冬至の太陽の位置から計画したものです。夏場は光が入らないような軒の出にしています。

なるほど。緑色のカーテンからの日差しも印象的ですね。

竹中さん

バーチカルブラインドといいます。縦のスリット状になっていて日射のコントロールには良い素材です。ほこりやよごれもつきにくいし、取り外して洗えます。

自然のエネルギーをできる限り使う

竹中さん

外に石を張ったのも良かったかもしれません。石やコンクリートはけっこう蓄熱します。その放射熱を使えないかと考えました。自然のエネルギーをできる限り使うように設計しています。

そうなんですね。

竹中さん

春から秋は自然の風を利用して生活できるように、風の流れをチェックして計画します。吹き抜け上下の温度差による換気も検討しました。

天井扇もそのためですね。

竹中さん

はい。特に冬のことなのですが、エアコンで暖められた空気が上ってしまい床付近が冷えてしまいます。天井扇でいくらかは寒さが緩和できていると思います。

「ハレ(非日常)」と「ケ(日常)」に対応できる住まい

リビングに階段があって、そこから2階へ。トップライトがあって。正面の壁にある棚は何ですか?

竹中さん

携帯置場です。最近よく受ける要望です。充電もできるようになっています。

細やかな設計をされていますね。こちらが階段。

竹中さん

階段はタモの木です。手摺りは柱と同じ材料(ヒノキ)でつくっています。手摺りの下は子どもが落ちる可能性があるので、必要な時に落下防止の網が掛けられる仕組みにしておきました。

将来のことも考えて…。

竹中さん

階段下は琴の収納場所になっています。奥さんが琴を演奏されますので。

これは、2階からリビングを見たところですね。

竹中さん

リビングをオープンな吹き抜けにした理由はもう一つあって、家を簡単なコンサートホールに仕立てようとしていました。書斎やダイニング、それに階段も臨時の客席にすることができます。住まいはやはり「ケ(日常)」だけでなく、「ハレ(非日常)」にも対応できる形がいいんじゃないかと考えています。

楽しいですね。

建物の完成は、新しい暮らしと住宅のスタート

こちらが、吹き抜けに面している2階の書斎。吹き抜けのところの窓からも光が入って、明るいですね。

竹中さん

そうですね。かなり明るく感じられます。書斎も当初からのご要望でした。

背後の棚は作り付けですね。机も作り付けですか?

竹中さん

はい。単価が安くなるので、大工仕事だったと思います。ここの大工さんはとても優秀でした。壁のベニヤ板も、継ぎ目を合わせるのはけっこうな技術で、下手な大工だとずれてくるんです。若い大工さんでしたが、細やかにやってくれたので安心できました。

家具の設計も、竹中さんがされるんですね。キッチンは?

竹中さん

私が設計してオリジナルでつくりました。キッチンの後ろの収納もつくっています。テレビの棚も、2階のクローゼットも、物置類も…。ダイニングテーブルも設計して、これは家具屋さんにつくってもらいました。書斎の椅子は僕がつくって、竣工祝いにプレゼントしました。

竹中さん自ら?

竹中さん

ベニヤ板1枚から椅子をつくるプロジェクトをやってまして、HPにも出ています。書斎にその椅子が欲しいと言われて作成しました。設計よりも労力をつぎ込んだかもしれません(笑)。

すごい! ほとんど家具は買わなくてよかったんですね(笑)。家族が増えていって、どう変わっていくか、とても楽しみな家です。

竹中さん

はい。家は完成が終わりじゃないですしね。お施主さんはそこからが生活のスタートです。私もそこから改めて一緒に考えていく。長くお付き合いができたらなと願っています。

次回は、小さい男の子が2人いるご家族の家づくりをご紹介いただきます。お楽しみに!

page up