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2017.6.14更新

Vol.27「若い夫婦の住まいのつくり方」

今回は、建築家の竹中アシュさんに、若い2組のご夫婦の家づくりをご紹介いただきます。一組は、ご結婚前に相談があって、結婚と同時に新居に住み始めたご夫婦。もう一組は、小さな男の子2人を育てるご夫婦。いずれも、潤沢な資金をお持ちだったわけではありません。竹中さんのサポートを得て、どのようにして住宅を建てたのでしょうか。

竹中 アシュ(たけなか あしゅ)さん
建築家・竹中アシュさんは、「家づくりは旅のようなもの」とおっしゃいます。どちらも、体験する前と後ではきっと何かが変わっているから。「人生は長い道のり。たいへんだけど、楽しみながら家をつくっていきませんか?」と、呼びかけてくださいます。人生経験の浅い若いクライアントにとっては、何でも相談できる頼りになるお兄さんという感じでしょうか。
「竹中設計事務所アシュ」主宰。一級建築士。2006年住宅コンペ最優秀、2010年億載金城国際コンペ3位、2011年香川県キャッスルプロムナードコンペ入賞、2013年建築士会建築コンクール伊礼賞(高雄ビジターセンター)受賞。中部大学・愛知工業大学・金城学院大学非常勤講師。

1.「オーソドックスな素材でコストダウン(house k)」

できるだけコストのかからない仕組みを考える

竹中さんの経歴を拝見しますと、建築家の安藤忠雄さん、石山修武さん、内藤廣さんと、そうそうたる先生方の元で修業をされています。それにしては―というとたいへん失礼ですが(笑)、住宅に作家的な考え方をあまり持ちこまれていませんね。

竹中さん

経歴サギでないかと言われます(笑)。今回ご紹介する住宅は、若いご夫婦からのご依頼で、かなり限られたご予算でお考えのものでした。全体は四角いシンプルな形に収まっています。見た目はそんなに特徴のない、普通の家ですね。

竹中さんにお願いしたらこうなる、というスタイルはないわけですね。白を基調にした軽やかな家が多いように感じますけれど。

竹中さん

外壁は、ガルバリウム鋼板を使うことが多いです。経済的で扱いやすくて耐候性もありますから。色はお施主さんに決めていただいています。

お施主さんが白を選ばれるんですか。

竹中さん

白、グレー、銀が多いですね。継ぎ目が目立たないので濃い色がいいかなと思うのですが、白を選ばれる方が多いです。アドバイスはしますが、決めていただくのはお客さんです。


house O 撮影:鈴木美幸(スタジオゼロ)

エネルギーロスの少ない住まい

家づくりで大切にされていることは何ですか?

竹中さん

長く使っていただけるように考えています。あと、家族の形態や周りの環境の変化に柔軟に対応できるようにすること。この2点は大きいです。

若くして住宅を建てるということは、先の人生をずっとそこで過ごすということですからね。

竹中さん

家族が増えて、小さい子どもが育って、独立していく。子ども部屋はいらなくなるけれど、親と同居するかもしれないし、自分たちも年老いていくし。いろいろ変化していきますよね。

想像力が必要ですね。

竹中さん

周りの環境も変わってきます。そういった変化にいかに柔軟に対応するかを考えていくと、表層だけで作っていくことはできないなと思っています。多分保守的なんでしょうね。

「普通の家」というのは、そういう意味だったんですね。


東浦の家

建設費1500万円のローコスト住宅

最初にご紹介いただくhouse kは2013年に竣工した住宅ですね。

竹中さん

20代のご夫婦で、結婚前にご相談があったんです。契約して設計が一通りできた時にご結婚されました。予算は設計料別で1500万円。キッチン、棚、空調、カーテンなど、全部込みでその値段。今考えると奇跡的ですね。

そうなんですか(笑)。いわゆる「ローコスト住宅」と言って良いですね。外壁はやはり、白のガルバリウム鋼板。

竹中さん

小波板は汎用品ですし取り換えしやすいものです。建物の庇を南北に延ばしました。日射をコントロールしながら、できるだけ建物が雨に当たらないようにしています。

建物の寿命を伸ばすという意味もありますね。

20代の二人が「年老いる」ことを考えて選んだプラン

竹中さん

当時は周囲に建物はありませんでした。でもここは第二種住居地域で、すぐ近くに5階建のアパートでも建てられる場所。建て込んでくると日照が悪くなることが予想されたので、最初に中庭のあるプランを提案しました。あとは2階建で2階にLDKがあるプラン。それとオーソドックスな1階にLDKのあるプランも提案しました。

リビングダイニングが2階にあると、将来周囲の環境が変わっても、日照も通風も確保されるということですね。

竹中さん

周囲の状況にもよりますが、1階より2階の方が環境は良いはずです。

環境が変わるといっても、なかなか実感がわかないと思います。

竹中さん

そうですね。模型や図面でどのように変わる可能性があるのか説明しています。このお二人は「年老いる」ということをよく考えられていました。

エッ?!

竹中さん

2階にリビングがあると年を取った時に階段の昇り降りがたいへんだからと、最終的には1階にリビングダイニング、キッチン、水廻りがあって、2階に寝室という案になりました。リビングも、将来的にはそこで寝たり起きたりできますし、よくありそうな住居の形に落ち着いたわけですが、理にかなってます。

若いのにそこまで考えられるなんて、すごいですね。竹中さんが上手にアドバイスをされたのでしょう。

竹中さん

お二人から教わることが多かったです。

手足が触れるところは天然素材

写真は玄関を見たところ。正面右手に見えるのは郵便受けですか。

竹中さん

はい。確認しやすい場所に設置しました。この付近に土間クローゼットなどまとめています。

雨具とか、ベビーカーとか、サッカーボールとか、そういうものを収納できるんですね。そして、玄関ホールが広い!

竹中さん

初めに詳細な要望書をいただきました。それぞれの部屋の関係性がわかりやすく書いてありとても驚きました。玄関とパントリーのつながり、リビングとダイニングと階段と2階の関係とか。玄関ホールの広さもご要望でした。

動きやすい動線ですね。

竹中さん

そうだと思います。後から聞いたんですが、奥さんは大学で建築を学んだことがある方でした。

そうですか。だから的を得た要望書だったんですね。内装材は何ですか。

竹中さん

壁天井はラワンベニヤ。どこにでもあるものですね。飽きたら色を塗ってもいい。。洗面所もベニヤ板ですが、水はねを考えて最初から塗装をしています。けっこう色をすいこんでしまい、ここは高級感が漂ってしまいました(笑)。

あはは。

竹中さん

手や足が触れるところは天然素材です。床はパイン材にしました。

リビング、ダイニングキッチン、そして2階の書斎
つながったり、引戸で小割にしたり

玄関側から見たダイニングキッチン。正面が南で、左手がリビング、明るいですね。ダイニングの上は2階になっていて、リビングは吹き抜けになっています。

竹中さん

リビングからダイニングキッチンの方を見たところです。吹き抜けになっていて、右手の階段を上がると書斎。LDKと書斎が吹き抜けでつながって、ワンルームになる形で構成しています。

延床面積が77.22m²ということですが、広く感じますね。

竹中さん

小さな家でも吹抜けがあると伸びやかになりますね。2階には今はゲストルーム、将来の子ども部屋が1部屋ありますが、お子さんがもう一人生まれたら、この吹き抜けに床を張って、部屋にすることも可能です。

なるほど。家族が増えたら、部屋も増やせるというわけですね。次回は、もっと詳しくご紹介いただきます。よろしくお願いします。

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