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2016.11.23更新

Vol.23「家と庭のつながりをデザインする」

「住まうときの風景(=住風景)が、家づくりの貴重な題材。そのためには、家と庭のつながりをどうデザインするかが大切」と、おっしゃる建築家・向井一規さん。狭い敷地ではそこまで考えられないと思っていましたが、お話をお聞きして、狭いからこそ家と庭のデザインが大切なのだとわかりました。

向井 一規(むかい かずのり)さん
名古屋駅西の築100年近い長屋の改修で、長屋の魅力を再認識させるなど、人々に大きなインパクトを与えた向井さん。それ以前は東京で、いわゆるモダンな建築設計をされていたそうです。長屋のリノベーションで見せた、原体験として持っておられる懐かしい日本の風景と、培ってきたモダンな感覚の融合で生み出す向井流の住宅には、多くのファンがいます。向井一規建築設計工房主宰。すまいる愛知住宅賞名古屋市長賞、中部建築賞など受賞。金城学院大学・愛知工業大学非常勤講師。

4.「雑木林と語らう家」

借景を見る窓が全コーナーに

こちらも緑が豊かな住宅ですね。

向井さん

自然が豊かでのびやかに暮らせる場所を希望され、時間をかけて、山並みと田園の風景、雑木林に囲まれた敷地を見つけられました。ただ、背後に大きな団地があって、そこに入っていく車の通りは多いんです。

 *庭デザイン 糟谷 護

こちらの住宅も、敷地の角を庭として生かすような配置がされています。家と庭のつながりという点では、どういう点に留意されましたか。

向井さん

田園風景と盆地の山の峰々がいつも見えるような関係性を作ろうということで、借景を見るための窓が全部のコーナーにあります。

すべてのコーナーに!?

向井さん

まず、玄関を入って正面に暖炉、そして暖炉の向こうにピクチャーウィンドウがあります。

暖炉が!

「家族のつながり」がもう一つのテーマ

向井さん

もう一つのテーマは「家族のつながり」で、この住宅の部屋は全部つながっています。個々の部屋は閉められますが、ワンルーム的な空間ですから、暖炉は大活躍です。家じゅう暖まりますし、ピザを焼いたり料理をつくったり。

憧れますね!(笑)

向井さん

ダイニングにもピクチャーウィンドウがあります。キッチン、お風呂、ご主人の趣味部屋にも小さな窓があって、階段を上がっていく寝室にも窓があります。もう一つ、お子さんのための階段があるんですが、上がっていくと大屋根の上に窓がある。すべてが周りを見るための窓になっています。





ワンフロアとおっしゃいましたが、スキップフロアになっていたり、ロフトがあったり、空間構成はかなり複雑ですね。

向井さん

小さな窓や隙間が空いていて、空気としてはつながっているんです。

楽しい!(笑) 見えなくても、家族の気配は感じられるわけですね。

向井さん

段差や階段があってどこでも腰かけられるから、ダイニングリビングに20人くらい集まったりしているそうです。最初は家族でひっそり暮らすなんて言っていたんですが、けっこうみなさん集まってくるみたいです(笑)。



土間空間で屋外とつながる家

向井さん

最後にご紹介するのは、奥さんの実家の畑を半分使って建てた住宅です。牧歌的な環境で、自然と近しい心地よさを感じて暮らしたいというご希望でした。そこで、妻切屋根(きりづまやね)をつくりました。将来、雑木林の間に屋根の上部がポコンと見えるようにしたかったんです。

 *庭デザイン 糟谷 護

妻切屋根というのは、折り紙を半分に折って折り目をつけて置いたような屋根のこと。すごく落ち着いた佇(たたず)まいですね。

向井さん

この家も玄関がありません。ゲートみたいになっていて、門扉を通ると土間テラスに出る。ここはまだ外で、そこから土間テラスと同じコンクリートで仕上げたダイニングキッチンに入っていきます。ダイニングキッチンは、ガラス戸を全開放すれば、土間テラスと一体になって、一瞬で屋外のような空間になります。

本当に、庭が日々の暮らしの近くにありますね。

向井さん

写真のように、1階は連窓と土間テラスで外に開かれています。

オープンで気持ちよさそうです。窓から緑が見えますね。

向井さん

緑はね、3年くらいすると完成すると思います。2階は少しこもった感じにしようと思って、窓も限られた状態にしてあります。床は板張り、天井は三角屋根の登り梁で覆われています。

森の中の一軒家、夢があって、おとぎの国の家みたい。自然に包まれて、家族と家がいっしょに育っていく。まさにそんな「住風景」だと思います。今回は、ありがとうございました!

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